噛むことと認知症の関係について

きちんと噛めるということは脳に大きな影響がある!

認知症と聞いてパッと思いつく病名はアルツハイマー病、という方は多いのではないでしょうか。現在、アルツハイマー病の発症リスクは残っている歯が多いほどリスクが少なくなることがわかっています。頭部のCT画像検査からも、残っている歯の数が少ないほど脳の萎縮が著しく、認知症の症状が強いということが知られています。

歯の数と認知症、これは人間が「噛む」という動作において、脳と密接なつながりがあるということを証明していることがわかります。では、すでに歯の数が少なくなってしまった人は認知症になりやすいのでしょうか。これは大変興味深いことではありますが、適切な入れ歯を入れて十分な咀嚼機能を維持できている方はそうでない方に比べ、認知機能が衰えにくいようです。入れ歯の良し悪しや使用状況によって個人差は出てくると思いますが、適切な入れ歯を使用し「きちんと噛む」ということがやはり大切であると言えます。

噛むという動作が脳を活性化させることは、実際に研究で確かめられています。食事をするときによく噛むことで脳の広い領域の血流が増え、脳が刺激されていることがわかっています。脳が刺激を受けるというのは脳細胞の神経を活性化させ、記憶、認知の領域を高めることにつながります。

脳機能が高まると全身機能も改善されることがあります。例えば噛み合わせを良くし噛めるようになると歩行状態が改善されたり、肩こりや頭痛、腰の痛みが改善されるといったことがあるようです。全ての方に当てはまるわけではありませんが、噛むことと脳のつながりを考えたときに十分あり得ることだと思います。

噛み合わせと認知症、身体のバランス。全く別の話のようで深いつながりがあるということを、私は日々仕事をしながら感じています。とりあえずなんとか噛めているという状態から、きちんと噛めている状態へ導くことは、実は脳を含めた身体全身の良い状態を作り出すことにつながっていると実感します。